マイクは、音を拾う、「収(集)音器」
音が出る機械でも、音を録音する機械でもありません。
今回は、そんなマイクについて解説します。
マイクの種類
マイクには、コンデンサー型とダイナミック型があります。
- コンデンサーマイク
- ダイナミックマイク
それぞれの特徴についてみていきましょう。
コンデンサーマイク
コンデンサーマイクの特徴です。
- 高音質、価格高め
- 湿気、衝撃に弱い
- ファンタム電源が必要
コンデンサーマイクの特徴は、なんといっても音質がいいことです。ダイナミックマイクは、マイクに近づかないと音を拾わないのに対して、コンデンサーマイクはわずかな音でも拾います。
宅録や自宅からの音楽配信が普及したことで、一般ユーザーでも所有している方が爆発的に増えています。
しかし、とてもデリケートなので、保管環境や扱いには十分気をつける必要があります。
特に湿気に注意
コンデンサーマイクは非常に繊細。
中に入っているダイアフラムと呼ばれる心臓部分が部屋の湿気やほこりの影響を受けやすいです。
ダイアフラムが湿気やほこりでダメになるとマイクの出力が徐々に低下していきます。
フアンタム電源
コンデンサーマイクは、ファンタム電源が必要てす。
ファンタム電源とは、ミキサーやマイクプリアンプ、インターフェースに備わっている電源のことで、キャノン(XLR)ケーブルを経由して、電源をマイクに送ります。
特別に専用コンセントがついているわけではありません。
ダイナミックマイク
ダイナミックマイクの特徴です。
- 騒音を拾いにくい
- 湿気、衝撃に強い
- ハウリングを起こしにくい
ダイナミックマイクは、音楽スタジオやカラオケで目にする一般的なマイクです。
繊細なコンデンサーマイクに比べ、衝撃に強く、ハウリングを起こしにくい点で使いやすさは抜群です。
狙った音のみ、ピンポイントで拾ってくれる点も優れている為、ライブ会場など他の楽器の音が鳴っている時でも使用できます。
指向性
マイクの指向性とは、マイクがどの方向から音を収音できるかという特性のこと。
■指向性の種類
無指向性 (Omunidirectional)
無指向性マイクロホンは、360°全方向の音を収音。
ある部分を狙うのではなく会場全体などの音を収録する際に使用されるタイプです。スタジオでの部屋鳴り(アンビエント)、会議の録音、襟元に付けるピンマイク(ラベリアマイク)といった用途で使用されるケースが多いです。
単一指向性 (Unidirectional)
単一指向性マイクは、ひとつの方向からの感度が特に高く、無指向性マイクよりフィードバックに強いので、ステージのサウンドシステムなどで使用されます。いくつか種類があります。
②スーパーカーディオイド(Supercardioid)
③ハイパーカーディオイド(Hypercardioid)
余談ですが、単一指向性のグラフが心臓(カーディオイド:ギリシャ語が語源)の形に似ているのでこの名がついています。
双指向性(Bidirectional)
マイクの正面または背面からの音に対して同等の感度を持ち、側面からの音に対して感度が低くなります。
ラジオ番組などで向き合った2人の会話を1本のマイクで収録する際に使用されるケースが多いです。
用途 (使い分け)
コンデンサー型とダイナミック型のマイクの使い分けをみていきましょう。
【コンデンサーマイク】
コンデンサーマイクは「無指向性」「単一指向性」「双指向性」など、いろんな指向性の製品があります。 →スイッチひとつで指向性を変えられる
・アンビエンス(臨場感)の録音 【無指向性】
・ボーカル(単体)のREC 【単一指向性】
・対面での会話 【双指向性】
コンデンサーマイクは、マイクのある場所の音 全てを拾うので、静かな環境での使用が絶対条件です。
僕の愛用しているAT2050(audio technica)もそのひとつです。
【ダイナミックマイク】
ダイナミックマイクの指向性は単一指向性。
正面の音を拾うタイプで、ハウリングや騒音にも強く、音楽・スピーチなど汎用性が高いです。
・ライブ(いろんな楽器の音が混ざる時)
・騒音があるストリートなど
・会議のスピーチ、カラオケ
ダイナミックマイクは、コンデンサーマイクと違って、マイクに向いた音のみを拾うため、騒音(別の音や声)がある環境でも狙った音だけ拾ってくれます。
価格
価格を比較してみます。
コンデンサーマイクはエントリーモデルで2万~3万円くらいが相場。プロ用となると何万万する高価なモデルもあります。
ダイナミックマイクの価格帯は3,000円~10,000円くらいが主流。2万~3万円あれば、なかなかいいマイクが買えます。
おすすめ製品
ここで、おすすめマイクを順に紹介します。
SM58 /SHURE
まずはめちゃくちゃ有名なSHUREの “SM58″。
ゴッパーという呼称が有名で、30年以上の超ロングセラーダイナミックマイクです!
バンドをやっている人なら、スタジオでよく見るマイクだと思います。
■ダイナミックマイク、ボーカル用
■ON/OFFスイッチ無し
■単一指向性
■周波数特性:50Hz-15kHz
■出力インピーダンス:150Ω
■感度: -54.5dBV/Pa (1.85mV)
■コネクタ:XLR3ピン(オス)
■サイズ・重量:径51mm、長さ162mm・325g
■付属品: マイクホルダーA25D、3/8-5/8インチ変換ネジ、マイクポーチ
SM57 /SHURE
SHURE “SM57″は、ド定番の楽器用のダイナミックマイクです。
通称ゴーナナ、これまた58同様の超ロングセラーです。
■ダイナミックマイク、楽器用
■単一指向性
■周波数特性:40Hz-15kHz
■感度: -56.0 dBV/Pa (1.6 mV)
■出力インピーダンス:150Ω
■サイズ・重量:径32mm、157mm・284g
■付属品:マイクホルダーA25D、ソフトケース、変換ネジ(5/8-3/8)
根強い人気があり、明瞭な特性を生かして、スピーチ用マイクとしても活躍します。
AE4100 /audio-technica
僕が5年以上愛用しているオーディオテクニカ “AE4100″です。
高感度の新型ユニットによるリアルで押しの強い音質が特徴。
ボディーを二重構造にしたDUAL ACOSTIC CHAMBERにより、理想的な音響特性と優れたハンドルフィーリングが特徴です。
鋭い指向性、ハウリングやポップノイズに対する強さと丈夫さを兼ね備えたプロ・ユースなモデルです。
■タイプ:ボーカル用ダイナミックマイク
■指向特性:単一指向性
■周波数特性:90Hz~18kHz
■感度(0dB=1V/1Pa、1kHz):-55dB
■出力インピーダンス:250Ω平衡
■重量:310g
■付属品:マイクホルダー、マイクポーチ
SM58に比べると、非常にクリアで、中音、高音の抜けがいいと感じました。
ストリートライブ、バラードやJAZZなど 歌う方におすすめしたいマイクです。
≫AE6100との違い
同社製品でAE6100がありますが、AE6100は高音に特化しています。
AE4100はバランスの良い特製なのでボーカル、楽器問わず使えます。
迷ったらAE4100にしましょう。
BETA57A /SHURE
これもまた僕が楽器用として使用している SHUREの”BETA57A”です。
■ダイナミックマイク、楽器用
■超指向性
■周波数特性:50Hz-16kHz
■出力インピーダンス:150Ω
■感度:?51 dBV/Pa (2.8 mV)
■サイズ・重量:径43mm、長さ160mm・275g
■付属品:マイクホルダー、ソフトケース、変換ネジ
SM57よりも輪郭がはっきりした音が特徴です。
高域の抜けは抜群。楽器用マイクの定番として人気がありますが、ボーカル用としても十分使えます。
AT2020 /audio-technica
コンデンサーマイクのエントリーモデル。
1万円で買えるコスパの良さと、様々な用途で使用できる万能性が人気です。
AT-2020はエントリークラスながら確かなスタジオクオリティを実現したハイコストパフォーマンスモデルです。
DTM用録音マイクとしてはもちろん、生放送、ポッドキャスト、実況用マイクとして最適です。専用スタンドマウントも付属。
初心者には、かなりおすすめです。
■コンデンサーマイク、サイドアドレス
■指向性:単一指向性
■周波数特性:20Hz-20kHz
■出力インピーダンス:100Ω
■感度:-37 dB
■最大SPL:144dB
■S/N比:74dB
■電源:ファンタム電源48V
■コネクタ:XLR3ピン(オス)
■サイズ・重量:径52mm、長さ162mm・345g
■付属品:専用スタンドマウント、マイクポーチ、変換ネジ
AT4040 /audio-technica
広いダイナミックレンジを誇り、スピード感に溢れる鮮烈でナチュラルなサウンドは、レコーディング、放送、ライブ等あらゆるシーンに対応します。
■コンデンサーマイク
■単一指向性
■周波数特性:20Hz-20kHz
■感度(0dB=1V/1Pa、1kHz):-32dB
■最大入力音圧レベル(1kHz、THD1%):145dB・S.P.L.
■SN比(at1KHz/1Pa,A-Weighted):82dB以上
■出力インピーダンス:100Ω平衡
■ローカット:80Hz、-12dB/oct
■電源:ファントムDC48V
■消費電流:4.2mA
■サイズ・重量:径53.4mm、長さ170mm、シャフト径21mm・360g
■付属品:専用ショックマウントAT8449a(5/8インチネジ)、マイクポーチ
C214 /AKG ( アーカーゲー )
C414の音質を受け継ぐコストパフォーマンス・モデル。
ボーカルはもちろんのこと、ギターやパーカッション、アンビエントマイクとしても活躍。
■コンデンサーマイク
■単一指向性
■周波数特性:20~20,000Hz
■感度:20 mV/Pa
■Max SPL:136/156 dB
■Phantom Power:12-52V
■寸法(mm):160×55
■重量:280g
■付属品:H85ショックマウント・ホルダー、W214ウィンドスクリーン、メタルキャリングケース
C414 XLII /AKG ( アーカーゲー )
往年の名機C414シリーズの最新モデル。
9段階の指向性切替と4段階のPAD、ローカットフィルターを装備。
輪郭のはっきりした抜けの良いサウンドは、抜群の存在感があり、ボーカルやリード楽器などのメインパートにベストマッチ。
■コンデンサーマイク
■指向特性:9段階
(無指向性/ワイドカーディオイド/カーディオイド/ハイパーカーディオイド/双指向性と各々の間)
■周波数特性:20Hz~20kHz
■開回路感度:-34dB( ± 0.5dB) re 1V/Pa
■最大音圧レベル:140dB SPL (パッドOFF、THD 0.5%)
■等価雑音レベル:6dB SPL(Aウェイト)
■パッド:0/-6/-12/-18dB 切り替えスイッチ
■ローカットフィルター:Flat/40Hz(12dB/oct)/ 80Hz(12dB/oct)/160Hz(6dB/oct)
■インピーダンス:200Ω以下
■電源:ファンタム DC48V/ 約4.5mA
■コネクター:XLR 3 ピン
■寸法・質量:幅50 ×高160 ×奥行38mm、300g
■付属品:サスペンション付ホルダー、ポップ・スクリーン、ウインドスクリーン、特性データシート、布製ポーチ、キャリングハードケース
最後にプロ使用の高価なマイクをご紹介します。
U87Ai /NEUMANN
世界中のスタジオの大定番マイクです。
ボーカルをはじめ、ピアノやアコギ、ドラムのオーバーヘッド等、あらゆる場面で使用され、声をとてもきれいにかつ、聞き取りやすい音でレコーディング出来るのでラジオの収録や声優の収録等、声に関する収録には抜群の信頼性があるコンデンサーマイクです。
単一指向性、双指向性、無指向性を切り替える事が出来、パッドスイッチも搭載しているので、ONで-10dbにする事が出来ます。
お値段はそれなりにしますが(40万程度)、業界標準の音と言われるだけのサウンドは持っていますので、あなたの手にNEUMANNマイクが必要になった時、是非手に入れてみて下さい。
■コンデンサーマイク
■指向性切替式(無指向性、双指向性、単一指向性)
■周波数特性:20Hz-20kHz
■最大SPL:127dB SPL/117dB(単一指向性)
■SN比:80dB
■出力インピーダンス:200Ω
■電源:ファンタム48V±4V
■サイズ・重量:径56mm、全長200mm・500g
■付属品:専用木製ケース
まとめ
いかがでしたか?
コンデンサーマイクとダイナミックマイクは、それぞれ特性が違うので、用途によって使い分けることで、よりきれいな音でレコーディングでき、声や楽器のよさを伝えることが可能になります。
値段もピンキリで、必要ない機能もあるので、自分にあったマイクを見つけることが大切です。
「ヘッドホンの選び方」の記事もご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。