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【音楽理論講座】終止の種類について 全終止・偽終止・サブドミナント終止(変終止/アーメン終止)・サブドミナントマイナー終止

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みなさん、こんにちは。

春ですね。だんだん暖かくなってきた今日この頃。

今日はコード進行における「終止(しゅうし)」について、その詳細と種類、使用例などについて解説していきます。

終止とは

「終止」とは、広い意味で「ハーモニー・コード進行がある程度展開したのち一旦落ち着くこと」を表す言葉です。

簡潔にいうと「曲の最後、Aメロの最後、サビの最後のコード(音)」この部分が”終止”です。

終止の種類

終止には以下の種類があります。

  • 全終止
  • 偽終止
  • サブドミナント終止 (変終止 / アーメン終止)
  • サブドミナントマイナー終止

それでは早速みていきましょう!

全終止

まず、ひとつ目が一番ポピュラーな終止「全終止」です。

これは、している人も多いと思いますが「Ⅴ→Ⅰ」の進行です。

以下はKey=Cにおける「全終止」の例です。

C → F → G → C(Ⅰ → Ⅳ → Ⅴ → Ⅰ

この終止の特徴ですが、不安定なサブドミナント(Ⅳ)からトニック(Ⅰ)への進行なので、最も安定した終止感が得られます。

全終止はもはや定番であるため、多用するとリスナーに「平凡な構成」という印象を持たれることもしばしば。

なのでこれから紹介する終止パターンがあります。

≫ Instagram【ドミナントモーション】

偽終止

次に紹介するのは、「偽終止(ぎしゅうし)」という終止の形です。

偽終止は全終止を変形させた形で、リスナーに違和感を与える終止パターンです。

C → F → G → Am(I → Ⅳ → V → Ⅵm

終止というものは一般的に「Ⅴ→Ⅰ」を連想させるので「Ⅴ」の次は「Ⅰ」がくるという感覚で曲を聴いているリスナーが大多数です。

しかし、それを裏切る効果を狙ったのが「偽終止」になります。

ⅠではなくⅥへ進行

上記の例では「I」の代理コードとして機能する「VIm」を活用し、「V→VIm(G→Am)」という流れを作り出しています。

「G(Ⅴ)」が鳴ったので「→C(Ⅰ)」が次に来る!と思いきや「Am(Ⅵ)」が鳴る、なんちゃって進行ですね。

「I」の代理コードとして機能する「VIm」にも安定な機能があるため「Ⅴ→Ⅰ」進行同様「不安定→安定」の流れが作れています。

≫ Instagram【偽終止】

サブドミナント終止 (変終止 / アーメン終止)

最後に、サブドミナント終止について解説します。

別名で「アーメン終止」と呼ばれることがあるこの終止形ですが、これは全終止「V→I」における「V」を別のコードに置き換える終止形です。

Dm → Em → F → C(Ⅱ → Ⅲ → Ⅳ → Ⅰ

F△7 → Em7 → Dm7 → C(Ⅳ△7 → Ⅲm7 → Ⅱm7 → Ⅰ

ドミナントモーション「Ⅴ→Ⅰ」に比べ、少し落ち着いた感じになります。

これには、ベースラインの動きが関係しています。

強進行していない

それぞれの終止のベースラインの動きを比較すると

  • ドミナントモーション「Ⅴ→Ⅰ」は、「ソ→ド」(強進行)
  • サブドミナント終止「Ⅳ→Ⅰ」は「ファ→ド」(強進行ではない)

ドミナントモーション「Ⅴ→Ⅰ」がなぜ、安定した終止なのか。

それはドミナントコードが持つ、「トライトーン」の関係によるものでしたよね。

ドミナントモーション、強進行、トライトーンについては、以下の記事で詳しく解説しています。

それじゃ、サブドミナントである以上強い終止感は出せないのか。

そう、思った人もいるはず。

ところが、あることをすると、サブドミナントの響きを活かしつつ、Cへ強進行することができます。

ドミナント系分数コード

サブドミナントの弱点である「強進行できない」点を改善するために分数コードを使います。

→ F → C

このサブドミナント終止をこのように変形させたらどうでしょう。

→ F/G → C

ベース音の動きが「G → C」になりました。

こうすることで、強進行を作れて、サブドミナントらしい響きも残すことができます。

このように、サブドミナントのコードを強進行できる形に変えたコードを「ドミナント系分数コード」といいます。

■ドミナント系分数コードの種類

  • F/G(Ⅳ/Ⅴ)←よく出てくる
  • F△7/G(Ⅳ△7/Ⅴ)
  • Dm/G(Ⅱm/Ⅴ)
  • Dm7/G(Ⅱm7/Ⅴ)←よく出てくる

この中で、よく使うのが「Ⅳ/Ⅴ」「Ⅱm7/Ⅴ」です。

ツーファイブワンでの活用

ドミナント系分数コードをツーファイブワンで活用してみましょう。

ツーファイブワンとは「Ⅱm7→Ⅴ→Ⅰ」の進行でしたね。

わからない人はこちらの記事を先にチェックしておいてください。

ツーファイブワン進行の「Ⅴ」にドミナント系分数コードを使ってみましょう。

すると、このような進行になります。

Dm7 → Dm7/G → C

※「Dm7/G」の元の形は「G7」

この形でも強進行を作ることができました。

しかし、G7とは構成音が異なるので、メロディの乗せ方には注意が必要です。

≫ Instagram【ツーファイブワン】

ドミナント系分数コードの活用例

ドミナント系分数コードを使っていくつかの進行を作ってみました。

  • F → F/G → C
  • F△7 → F△7/G → C
  • Dm → Dm/G → C
  • Dm7 → Dm7/G → C

この中でよく使われる進行が「F/G」と「Dm7/G」です。

このふたつは覚えておきましょう。

サブドミナントの弱点「強進行できない」は解決しました。

そして、サブドミナントのもう一つの弱点、それが「トニックの音(C)に半音で接する音が1つ」ということです。

半音で接する音が多いほど不安定な響きになるんでしたよね。

なので、トニック(C)の構成音(ドミソ)と半音で接するサブドミナント(F)の音をもうひとつ作ってあげればいいのです。

サブドミナントマイナー

「ファ」は「ミ」と半音で接しています。(ひとつ)

サブドミナントマイナー

F(ファ ラ ド)を『Fm(ファ ソ# ド)』に変形させたらどうでしょう。

C(ドミソ)に半音で接する音が2つになりました。(ファとソ#)

このように、サブドミナントを、サブドミナントマイナーの形に変えると終止感の強い進行が作れます。

F → C(ファ・ラ・ド → ド・ミ・ソ)

Fm → C(ファ・ソ#・ド → ド・ミ・ソ)

この時の「Fm」をサブドミナントマイナーといいます

Fm以外のサブドミナントマイナー

Fm以外にもサブドミナントマイナーがあります。

■Fm以外のサブドミナントマイナーの条件

  • 元となる構成音がサブドミナントの形であること
  • 「ラ」が「ラ♭(ソ#)」に変化していること

1.ダイアトニックコードのサブドミナントを変化させたもの

  • F → Fm
  • F△7 → Fm△7
  • Dm → Dm(♭5)
  • Dm7 → Dm7(♭5)

これら全て、「ラ」を「ラ♭」に変えているだけ。

Fm△7はあまり出てこない形ですよね。

2.1に対して共通音を多く含むもの

Fm7、Fm6、A♭、A♭△7、B♭7、D♭、D♭△7、、、

サブドミナントマイナーの進行例

いくつかサブドミナントマイナーの進行例を紹介します。

① Fmを使用する

C → Fm → C → G/B → Am7 → Em7 → F△7

【コメント】
ポップスやバラードのAメロでありそうなゆったりした進行です。
Fmの浮遊感があり、小さなアクセントになります。
最後のF△7をFm△7に変えてもいいかも。

② Fm△7を使用する

F△7 → Fm△7 → Em7 → Am7

【コメント】
J-POPの王道進行に飽きてしまった方におすすめの進行です。
Fm△7はトニックCではなく、代理トニック「Em7」へ進みます。
Bメロやサビの後半で使えそうです。

③ Fm7、B♭7を使用する

Dm7 → Em7 → Fm7 B♭7 → C

【コメント】
「Fm7」「B♭7」どちらもサブドミナントマイナー。
サブドミナントマイナーのコード同士でツーファイブの動きです。
B♭7後、E♭などに進行すると、同主調(Cmスケール)に転調できます。

④ Fm6を使用する

Dm7 → Em7 → F△7 Fm6 → C

【コメント】
「F△7 → Fm6 → C」の動きで、ミ→レ→ドの動きが作れます。

⑤ A♭を使用する

F → G → A♭ B♭ → C

【コメント】
「A♭ → B♭ → C 」でワクワク感を演出できます。
「A♭△7 → B♭7 → C 」でもいいかも。

⑥ Dm7(♭5)を使用する

F△7 → C/E → Dm7 Dm7(♭5) → C

【コメント】
曲のエンディング。
コードのトップが「ド」で固定されている点にも注目!
次に出てくる「D♭△7」と比較してみて!

⑦ D♭△7を使用する

F△7 → C/E → Dm7 D♭△7 → C

【コメント】
Dm7(♭5)の派生系。D♭△7は裏コード的な匂いもします。
より「眠りにつく」的なニュアンスが強調されています。

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