みなさん、こんにちは。
春ですね。だんだん暖かくなってきた今日この頃。
今日はコード進行における「終止(しゅうし)」について、その詳細と種類、使用例などについて解説していきます。
終止とは
「終止」とは、広い意味で「ハーモニー・コード進行がある程度展開したのち一旦落ち着くこと」を表す言葉です。
簡潔にいうと「曲の最後、Aメロの最後、サビの最後のコード(音)」この部分が”終止”です。
終止の種類
終止には以下の種類があります。
- 全終止
- 偽終止
- サブドミナント終止 (変終止 / アーメン終止)
- サブドミナントマイナー終止
それでは早速みていきましょう!
全終止
まず、ひとつ目が一番ポピュラーな終止「全終止」です。
これは、している人も多いと思いますが「Ⅴ→Ⅰ」の進行です。
以下はKey=Cにおける「全終止」の例です。
C → F →
この終止の特徴ですが、不安定なサブドミナント(Ⅳ)からトニック(Ⅰ)への進行なので、
全終止はもはや定番であるため、多用するとリスナーに「平凡な構成」という印象を持たれることもしばしば。
なのでこれから紹介する終止パターンがあります。
偽終止
次に紹介するのは、「偽終止(ぎしゅうし)」という終止の形です。
偽終止は全終止を変形させた形で、リスナーに違和感を与える終止パターンです。
C → F →
終止というものは一般的に「Ⅴ→Ⅰ」を連想させるので「Ⅴ」の次は「Ⅰ」がくるという感覚で曲を聴いているリスナーが大多数です。
しかし、それを
ⅠではなくⅥへ進行
上記の例では「I」の代理コードとして機能する「VIm」を活用し、「V→VIm(G→Am)」という流れを作り出しています。
「G(Ⅴ)」が鳴ったので「→C(Ⅰ)」が次に来る!と思いきや「Am(Ⅵ)」が鳴る、なんちゃって進行ですね。
「I」の代理コードとして機能する「VIm」にも安定な機能があるため「Ⅴ→Ⅰ」進行同様「不安定→安定」の流れが作れています。
サブドミナント終止 (変終止 / アーメン終止)
最後に、サブドミナント終止について解説します。
別名で「アーメン終止」と呼ばれることがあるこの終止形ですが、これは全終止「V→I」における「V」を別のコードに置き換える終止形です。
Dm → Em →
F△7 → Em7 →
ドミナントモーション「Ⅴ→Ⅰ」に比べ、少し落ち着いた感じになります。
これには、ベースラインの動きが関係しています。
強進行していない
それぞれの終止のベースラインの動きを比較すると
- ドミナントモーション「Ⅴ→Ⅰ」は、「ソ→ド」(強進行)
- サブドミナント終止「Ⅳ→Ⅰ」は「ファ→ド」(強進行ではない)
ドミナントモーション「Ⅴ→Ⅰ」がなぜ、安定した終止なのか。
それはドミナントコードが持つ、「トライトーン」の関係によるものでしたよね。
ドミナントモーション、強進行、トライトーンについては、以下の記事で詳しく解説しています。
それじゃ、サブドミナントである以上強い終止感は出せないのか。
そう、思った人もいるはず。
ところが、あることをすると、サブドミナントの響きを活かしつつ、Cへ強進行することができます。
ドミナント系分数コード
サブドミナントの弱点である「強進行できない」点を改善するために分数コードを使います。
→ F → C
このサブドミナント終止をこのように変形させたらどうでしょう。
→ F/G → C
ベース音の動きが「G → C」になりました。
こうすることで、強進行を作れて、サブドミナントらしい響きも残すことができます。
このように、
■ドミナント系分数コードの種類
- F/G(Ⅳ/Ⅴ)←よく出てくる
- F△7/G(Ⅳ△7/Ⅴ)
- Dm/G(Ⅱm/Ⅴ)
- Dm7/G(Ⅱm7/Ⅴ)←よく出てくる
この中で、よく使うのが「Ⅳ/Ⅴ」「Ⅱm7/Ⅴ」です。
ツーファイブワンでの活用
ドミナント系分数コードをツーファイブワンで活用してみましょう。
ツーファイブワンとは「Ⅱm7→Ⅴ→Ⅰ」の進行でしたね。
わからない人はこちらの記事を先にチェックしておいてください。
ツーファイブワン進行の「Ⅴ」にドミナント系分数コードを使ってみましょう。
すると、このような進行になります。
Dm7 → Dm7/G → C
※「Dm7/G」の元の形は「G7」
この形でも強進行を作ることができました。
しかし、G7とは構成音が異なるので、メロディの乗せ方には注意が必要です。
ドミナント系分数コードの活用例
ドミナント系分数コードを使っていくつかの進行を作ってみました。
- F → F/G → C
- F△7 → F△7/G → C
- Dm → Dm/G → C
- Dm7 → Dm7/G → C
この中でよく使われる進行が「F/G」と「Dm7/G」です。
このふたつは覚えておきましょう。
サブドミナントの弱点「強進行できない」は解決しました。
そして、サブドミナントのもう一つの弱点、それが「トニックの音(C)に半音で接する音が1つ」ということです。
なので、トニック(C)の構成音(ドミソ)と半音で接するサブドミナント(F)の音をもうひとつ作ってあげればいいのです。
サブドミナントマイナー
「ファ」は「ミ」と半音で接しています。(ひとつ)
F(ファ ラ ド)を『Fm(ファ ソ# ド)』に変形させたらどうでしょう。
C(ドミソ)に半音で接する音が2つになりました。(ファとソ#)
このように、サブドミナントを、サブドミナントマイナーの形に変えると終止感の強い進行が作れます。
F → C(ファ・ラ・ド → ド・ミ・ソ)
Fm → C(ファ・ソ#・ド → ド・ミ・ソ)
この時の
Fm以外のサブドミナントマイナー
Fm以外にもサブドミナントマイナーがあります。
■Fm以外のサブドミナントマイナーの条件
- 元となる構成音がサブドミナントの形であること
- 「ラ」が「ラ♭(ソ#)」に変化していること
1.ダイアトニックコードのサブドミナントを変化させたもの
- F → Fm
- F△7 → Fm△7
- Dm → Dm(♭5)
- Dm7 → Dm7(♭5)
これら全て、「ラ」を「ラ♭」に変えているだけ。
Fm△7はあまり出てこない形ですよね。
2.1に対して共通音を多く含むもの
Fm7、Fm6、A♭、A♭△7、B♭7、D♭、D♭△7、、、
サブドミナントマイナーの進行例
いくつかサブドミナントマイナーの進行例を紹介します。
C →
【コメント】
ポップスやバラードのAメロでありそうなゆったりした進行です。
Fmの浮遊感があり、小さなアクセントになります。
最後のF△7をFm△7に変えてもいいかも。
F△7 →
【コメント】
J-POPの王道進行に飽きてしまった方におすすめの進行です。
Fm△7はトニックCではなく、代理トニック「Em7」へ進みます。
Bメロやサビの後半で使えそうです。
Dm7 → Em7 →
【コメント】
「Fm7」「B♭7」どちらもサブドミナントマイナー。
サブドミナントマイナーのコード同士でツーファイブの動きです。
B♭7後、E♭などに進行すると、同主調(Cmスケール)に転調できます。
Dm7 → Em7 → F△7
【コメント】
「F△7 → Fm6 → C」の動きで、ミ→レ→ドの動きが作れます。
F → G →
【コメント】
「A♭ → B♭ → C 」でワクワク感を演出できます。
「A♭△7 → B♭7 → C 」でもいいかも。
F△7 → C/E → Dm7
【コメント】
曲のエンディング。
コードのトップが「ド」で固定されている点にも注目!
次に出てくる「D♭△7」と比較してみて!
F△7 → C/E → Dm7
【コメント】
Dm7(♭5)の派生系。D♭△7は裏コード的な匂いもします。
より「眠りにつく」的なニュアンスが強調されています。