今回はコンプレッサーの機能について説明します。
コンプレッサー
役割は
・音圧を上げる
〈原理〉
大きな音だけ小さくする
= 強弱の差が少なくなる
→「音の粒がそろう」
つまり、コンプレッサーを使うと、ピッキングなどによるバラバラの力の強弱の差がなくなります。
コンプレッサーは、スレッショルドを超えた音を圧縮し、音の大小の差を無くします。
THRESHOLD (スレッショルド)
スレッショルドは、どのくらい音量が超えたら圧縮するか、コンプがかかるラインのことです。
スレッショルド=100に設定すると
スレッショルド=100を超えた音を圧縮します。
※音の単位はdBですが、わかりやすく整数(0〜200)で表しています。
スレッショルド=150に設定すると
スレッショルド=150を超えた音を圧縮します。スレッショルド=150に設定すると、スレッショルド=100のときよりも、コンプがかかる部分が狭まったことがわかります。
Ratio (レシオ)
レシオとは、スレッショルドを越えた音を、原音に対しどれくらい抑え込む(圧縮する)かという圧縮比率のことです。
スレッショルド=100で考えてみます。
レシオを2:1に設定してみましょう。
スレッショルド100を超えた部分(音)を1/2に圧縮しているのがわかります。
レシオを10:1に変えてみましょう。
レシオ2:1のときより、多くの音が潰されているのがわかります。
潰された音(赤と黄の重なり)を消すとこうなります。
これがコンプにより得られた音です。
=コンプされた音量
コンプをかけたまま、全体的に音量を上げることで、音圧が上がります。
しかし、上げすぎると音割れの原因になります。
◆メイクアップゲイン
音量を調節するパラメーターです。
コンプレッサーで圧縮しただけでは、当然音量は下がってしまいます。これを設定することで、圧縮によって下がった音量を持ち上げることができます。
オートゲインという自動で音量を調節してくれる機能がついているものもありますが、自分の耳で確かめて調節したほうがいいでしょう。
Attack (アタック)
音の立ち上がりのこと。
音の立ち上がりから、最大音量(A地点)になるまでの時間を「アタックタイム」といいます。
・アタックを遅く(A地点を右へ)すると
→滑らかでナチュラルになる
・アタックを速く(A地点を左へ)すると
→バキッとコンプ感が増す
Release (リリース)
音が残っている時間。
音が減衰してスレッショルドを下回ってから、コンプレッサーが圧縮を解除するまでの時間のことです。うまく設定することで、自然なコンプのかかり方になります。
・リリースを遅くすると
→サスティーンが長くなる
・リリースを速くすると
→歯切れがよくなる
コンプレッサーとリミッターの違い
どちらも音の音量、ダイナミクスにかかわるエフェクターですが、基本的な動作が同じであるため、違いがわかりにくいという人がいるかと思います。
〈コンプレッサー〉
→音の大小の差をなくす
コンプレッサーは、スレッショルドを超えた音に対して、設定した圧縮比率(レシオ)で音を叩く(圧縮する)。
つまり、スレッショルドを超えた音に対して効果をもたらします。
〈リミッター〉
→音の最大値を決める
リミッターは、音の最大値(スレッショルド)を超えないように音の大きさを制限する。
つまり、音はスレッショルドを超えません。
どちらも大きな音に対して効果を及ぼすエフェクターであり、音がスレッショルドを超えるか超えないかが主な違いになります。
おすすめコンプレッサー
Providence VELVET COMP
ギタリスト、ベーシスト問わず人気の高いのが「VELVET COMP」
初心者でも簡単に使える操作性の良さが人気です。
コンプレッサーは、音の粒が揃うため、カッティングの強弱が損なわれ、ギタリストでは意見が分かれがちですが、否定的な人に使ってもらいたいエフェクターでもあります。ほとんどサウンドには変化がなく、ナチュラルなエフェクトが特徴です。クリーン、ドライブ問わず相性バッチリ!
EBS Multi Comp
定番ベース用コンプ
高音質と高性能を両立させたアナログペダルコンプです。
繋いだときのノイズがほぼなく、音痩せもないのが特徴です。
ベーシストであれば1度は使用してみてください。
MXR dyna comp
ギター用コンプレッサーの定番。 ロングサスティーンが特徴の名機です。
ナチュラルなコンプレッションを求める人には向きませんが、コンプ感がわかるポコポコとしたパーカッシブなサウンドを作りたい人にはおすすめです。
おすすめセッティング
コンプの設定で迷ったら、アタック、リリースは最速にしておくのが良いでしょう。
アタックが遅いとモワッとした音の立ち上がりになります。
テンポの速い曲ではアタック→最速
テンポの遅い曲ではリリース→遅め
アタック、リリースは極端に遅く設定する事はしません。
まとめ
いかがでしたか。 コンプレッサーは音の大小の差を無くしてくれ、音圧を上げてくれる、音楽をやる上で必要不可欠なエフェクトです。
DTMでも必要な知識なので、本気で音楽をやっていく人であれば、しっかりと理解しておきましょう。
合わせて、D.Iについて「インピーダンス」も理解しておくと良いでしょう。
D.Iが必要な理由【音質劣化はインピーダンスが原因です】