今日は「教会旋法(church mode)」について解説します。
ジャズやロック、ゲーム音楽など様々な音楽の中に取り入れられている教会旋法。
教会旋法とは、中世ヨーロッパの宗教音楽で用いられてきた、音階のような音の配列(スケール)のことです。
スケールの中で、全音、半音の間隔がそれぞれ違うスケールにそれぞれ名前が付けられいます。
教会旋法
現在使われている教会旋法(チャーチモード)は、この7つです。
- イオニアン(イオニア旋法)
- ドリアン(ドリア旋法)
- フリジアン(フリジア旋法)
- リディアン(リディアン旋法)
- ミクソリディアン(ミクソリディア旋法)
- エオリアン(エオリア旋法)
- ロクリアン(ロクリア旋法)
それぞれのスケールモードについて紹介します。
イオニアン(イオニア旋法)
イオニアン(Ionian)は、白鍵の「ド」からはじまるスケールです。
(別名:アイオニアン)
「ドレミファソラシ」の間隔で成り立つスケールのことです。
つまり、メジャースケールのことで、各音の並びは、[全 全 半 全 全 全 半] というピッチ間隔の明るい長音階です。
4度の音(C調でのF音)は、アボイドノート(回避音)*になり、多様すると調性感が曖昧になります。
※アボイド・ノート(回避音)とは
直訳すると「避けるべき音」です。「コードと不協和な音」、「コードの調性を損なわせる可能性がある音」がアボイド・ノートです。
ドリアン(ドリア旋法)
ドリアン(Dorian)は、イオニアンの第2音「レ」からはじまるスケールです。
マイナーキーやツーファイブでよく使われるスケールで、音の並びは、[ 全 半 全 全 全 半 全 ] というピッチ間隔のマイナー系サウンドです。
フリジアン(フリジア旋法)
フリジアン(Phrygian)は、イオニアンの第3音「ミ」からはじまるスケールです。
エキゾチックで民族的な雰囲気を持ったスケールで、中近東風やスパニッシュ、フラメンコ音楽でもよくこのスケールが使用されます。
各音の並びは、[半 全 全 全 半 全 全] というピッチ間隔になります。
アボイドとされる音は、短二度と短六度です。
リディアン(リディア旋法)
リディアン(Lydian)は、メジャー系スケールでイオニアンの第4音「ファ」からはじまるスケールです。
各音の並びは、[全 全 全 半 全 全 半] というピッチ間隔で明るくモダンな響きを持つ長音階です。
ジャズでよく M7系のコードで使われるスケールです。
ミクソリディアン(ミクソリディア旋法)
ミクソリディアン(Mixolydian)は、イオ二アンの第5音「ソ」からはじまるスケールです。
各音の並びは、[全 全 半 全 全 半 全] というピッチ間隔になります。
ドミナントセブンスコードで使われることが多いスケールです。
アボイドノートは、第4音(Gミクソリディアンの場合はC)となります。
エオリアン(エオリア旋法)
エオリアン(Aeolian)は、イオニアン第6音の「ラ」からはじまるスケールです。
各音の並びは、[全 半 全 全 半 全 全] というピッチ間隔の音階で、マイナーキーのトニックやマイナーセブンスコードで使うことが多いです。
アボイドノートは第6音です。
ロクリアン(ロクリア旋法)
ロクリディアン(Locrian)は、イオリアンの第7音「シ」からはじまるスケールです。
各音の並びは、[半 全 全 半 全 全 全] というピッチ間隔の音階になります。
m7♭5(マイナーセブンスフラットファイブ)のコードでよく使用されます。
アボイドノートは第2音です。
ロクリア旋法は理論上存在するもののあまり使われません。
メジャー系の教会旋法の構成
教会旋法の中でメジャー系と言われるものが、イオニア旋法・リディア旋法・ミクソリディア旋法です。
- イオニア旋法
- リディア旋法
- ミクソリディア旋法
音列の初めの音(終止音と呼ばれます)と第3音との関係は長3度です。
「ド」をルートとした3和音(トニック)、「ファ」をルートとした3和音(サブドミナント)、「ソ」をルートとした3和音(ドミナント)も、ルートと第3音との関係は長3度となり、メジャーの響きに(明るく)なります。
曲の中に組み込んだ時、イオニア旋法は主和音(トニック)的な役割、リディア旋法は副属和音(サブドミナント)的な役割、ミクソリディア旋法は属和音(ドミナント)的な役割を持つと考えても良いでしょう。
マイナー系の教会旋法の構成
マイナー系の教会旋法と言われるものには、ドリア旋法、フリジア旋法、エオリア旋法、ロクリア旋法があります。
- ドリア旋法
- フリジア旋法
- エオリア旋法
- ロクリア旋法
第3音との関係は、短3度です。
よって暗い印象のスケールになります。
まとめ
作曲でこの知識が役に立つかと言われると、正直なくても曲は全然作れます。
ですが、知ってて無駄ではないので、知っていることでアレンジ面で役立つでしょう!